第4回 ドイツの白ちゃん
ウッドベースのドイツのザンドナー社製
我が家の通称「白ちゃん」をご紹介します。
何故そのウッドベースを「白ちゃん」というのか、
それはこういう状態の時代が長かったからです。
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どうです、この白い肌。
この楽器はもともと材質は良かったのですが、
ファクトリー製特有の
組み込みの甘い
吹きつけのような仕上げがあまり良くなかったので
全部ニスを落とし、
同時にネックも接合面を整え
ニカワを使ってしっかり仕込み直ししました。
さて、ニスを塗り直す段階で
大きな問題にぶつかりました。
資料をかき集め、
webで調べてもなかなか見つからなかったのです。
何軒ものバイオリン工房に
専用ニスを分けて欲しいと頼んでみても
「ベースは量が多いから」と全て断られてしまい、
ならば、自分でニスを調合するか、
あるいは、柿渋でも塗るか、
と、正直半ば諦めかけていました。
ところが!
![column005](images/column005.jpg)
運よく旅先の大阪にあった【鈴木弦楽器】でバイオリンアルコールニスを発見。
話好きでとても親切な社長に塗り方のコツなどを伺い
彼らの仕事道具の刷毛と一緒に無理矢理大量に譲ってもらいました。
基本的にバイオリンに多く使われるのは
オイルニスとアルコールニスの2つです。
アルコールニスは、手に入りやすいエタノールを溶剤に使うので
オイルや揮発石油系よりも扱いがとても楽で初心者向き。
皮膜も柔らかいので木の振動を阻害しなくて音が良いのです。
まず、下地にサフランで黄色に染め、
その上から色の薄いオレンジ、
乾いたらサンディングして表面をならして
その上から濃いブラウンへ
という順に繰り返しニスを塗っていきます。
何しろベースは面積が広いのですぐムラになりやすく本当に大変!
失敗の度に何度も最初からやり直したので、
何年間も白い状態やマダラ模様を繰り返していました。
そして昨年。
ある全国ツアーでこの「白ちゃん」を急に使用することになり
作業は急ピッチで進められました。
その結果、ついに「白ちゃん」は、
6年もかかって普通のベースに生まれ変わることができたのです。
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色は変わっても我が家では相変わらず「白ちゃん」と呼ばれているウッドベース。
実は、塗装作業は未だに続いています。
徐々にではありますが
「白ちゃん」はより深いこげ茶色の肌をめざして進化し続けているのです。
もちろん音は以前より良くなりましたよ。
でも......
近所の子供達は、
でっかーいバイオリンを
庭でいつもゴシゴシ磨いてるヘンなおじさんを見て
どう思っていたでしょうね。
2007.05.18
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