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第2回 金属パーツの材質について

エレキベースのいい音とは一体どんな音だろう。

楽器店で弾いていい音だと感じた楽器でもいざアンサンブルに入ると
存在が薄かったり、アクティブ武装で派手な音色の楽器も
実はサウンドの低音部を支えられなかったりする。
楽器は様々なパーツで複合的に組み上がっているので
なかなか判断基準が多く難しい。

音選びにアルダーやハカランダといった木材選びも大切だが
僕はベースの音を決める基本的な要素の多くは
まず装着する金属パーツの材質、比重から始まると思っている。

特に糸巻きとブリッジサドルは今まで散々試した結果、
力強い倍音、太いボトムで手応えのある音がする鉄製のものが一番好きだ。

弦楽器は弦が振動する事で発音する。
振動する弦が何で出来ているかを意外と見落としがちだ。
多くの場合ベース弦はニッケルやステンレスなどの金属で
結構重い弦が強いテンションで張られている。
この状態で勢いよく弾いたり叩いたりすることで
支点になる両端に相当な振動エネルギーがかかる。

振動を直接支える部分に弦素材よりも比重の軽い
アルミ、真鍮、チタンなどを使うと
倍音が増え音抜けは良くなるものの、
反対に腰が弱くなって音がパサパサ、
またはシャキシャキかコリコリっとした傾向になる。
振動を支点の重さでしっかり支えきれずに
一番大切なボトムのレンジを逃がしてしまう気がする。

ベースの音は「ゴン!ブリ!ジャキ!」という濁点が着かないと駄目なんだなあ。
そうなるとやはり鉄だ。ということになる。

日本を代表するパーツメーカー、後藤ガットさんとは
長年そんなやりとりをさせていただいている。
後藤氏は僕のわがままな細かい相談にいつも真摯に答えてくれ、
その本当の職人気質と気さくな人柄は
メーカーとユーザーの隔たりをなくし、
ひたすら良い物を作ろうと向き合ってくれる。
実際、僕がパーツに対して色々試行錯誤しながら
様々な発見が出来るのも後藤氏のおかげだ。

2007.04.23

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